自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは

ASDは、対人関係や社会的なやり取りが苦手で、特定の物事への強いこだわりを持つといった特徴がみられる発達障害のひとつです。かつては「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」など、いくつかの診断名に分けられていましたが、現在ではこれらをひとつの連続体(スペクトラム)として捉え、「自閉症スペクトラム障害」と総称されています。ASDは脳の発達の偏りにより生じると考えられており、遺伝的な要因や妊娠中・出生時の環境などが関与するといわれていますが、明確な原因はまだ完全には解明されていません。

特徴的な症状(特性)

自閉症スペクトラム障害には、大きく分けて二つの特性が見られます。一つは「対人関係や社会的なやり取りの難しさ」、もう一つは「限定的で反復的な行動や興味・こだわりの強さ」です。

具体的には次のような傾向を示すことがあります。

  • 人と目を合わせるのが苦手だったり、話しかけられても反応が薄かったりする
  • 友達との遊びでルールが守れなかったり、一方的な会話が多かったりする
  • 急な予定変更に過剰に不安を感じたり、かんしゃくを起こしたりする
  • 特定のものに強いこだわりがあり、興味の対象が偏ることがある
  • 光や音、触られることに敏感で、生活の中で強いストレスを感じやすい

上記のように、相手の表情や気持ちを読み取ることが苦手で、自分の気持ちを適切に伝えるのが難しいといったコミュニケーション上の課題があります。また、お友達との遊び方が独特だったり、ルールを理解しにくかったりといったこともあります。

このほか、決まったやり方や習慣に強くこだわる、同じ言葉を繰り返す、回転するものを好むといった行動が見られることもあります。些細な変化に不安を感じたり、興味の対象がとても限定的で深くのめり込んだりすることがあるのも特徴です。

さらに、音や光、触感などに過敏または鈍感であるといった感覚の偏りや、不安が強く、急な予定変更への対応が難しいといったことも特性のひとつです。

ただしこれらは、「わがまま」とか、「しつけの問題」ではありません。ASDという特性に基づいた行動であり、周囲の理解と支援によって、その子らしい育ちを支えることができます。

成長段階で現れる特性、二次的問題のリスク

ASDの特性は、年齢とともに表れ方が変化します。乳幼児期には、呼びかけに反応しない、視線が合いにくい、言葉の発達が遅いといった兆しがみられることがあります。就学前後になると、集団生活での困りごとが目立ち始めることが多く、お友達との関わり方や指示の理解に苦労することがあります。自閉症スペクトラム症のお子さんは、いじめを受ける機会が多いことも分かっています。思春期以降は、他者との違いを自覚して自己評価が低下したり、強い不安感や孤立感を抱えてしまったりすることもあります。

このように、ASDの特性そのものだけでなく、まわりとの違いに気づくことや、誤解・叱責、いじめを受け続ける経験から、自己肯定感の低下や不安、うつ状態などの二次的な問題が生じることがあります。早期に理解と支援を受けることで、こうした二次的な困難を防ぐことが大切です。

ASDの治療について

ASDは「治す」病気ではなく、特性を理解したうえで、日常生活や対人関係での困難を減らす支援を行っていくことが大切です。治療の中心となるのは、環境調整と療育などによる行動支援です。

環境調整

お子さんが過ごしやすい環境を整えることは、ASDへの支援の第一歩です。学校や家庭での関わり方を工夫し、安心して過ごせる場をつくることで、行動の安定や意欲の向上が期待できます。例えば、予定をわかりやすく示したり、静かな場所を設けたりすることで、不安を和らげることができます。

療育

療育とは、お子さん一人ひとりの特性や発達段階に応じて、日常生活や社会性のスキルを育んでいく支援です。遊びを通じた関わり方や、ことば・行動のトレーニングなどが含まれます。年齢が低いうちは行動療法的な支援を行うことが多いです。年齢が上がってくると、ソーシャルスキルトレーニング(SST)や認知行動療法的アプローチなどを通じて、「人との関わり方」「感情の調整の仕方」などを練習していきます。自治体で行われる療育や民間療育等、幅広い選択肢があります。

薬物治療

ASDそのものを治す薬はありませんが、強い不安、注意の散漫、イライラや衝動性などの二次的な症状が目立つ場合には、補助的にお薬を使うことがあります。効果や副作用を慎重に見ながら、必要最小限での使用を検討します。

当クリニックの診療について(例)

当クリニックでは、ASDの可能性があるお子さんに対して、まずは丁寧な問診から始めます。これまでの成育歴や日常で困っていることなどを保護者の方と一緒に振り返りながら、必要に応じて心理検査(知能検査や行動観察など)を行い、特性を多角的に評価していきます。診断の有無にかかわらず、「今、どんなことで困っているのか」「どんな支援が必要か」を共に考えることを大切にしています。また、園や学校との連携が必要な場合には、保護者の方とご相談のうえ、必要な書類作成や情報提供にも対応いたします。療育を利用される場合、必要に応じて受給者証発行のための診断書等にも対応いたします。

自閉症スペクトラム障害は、個人差もありますが、大きな問題なく社会生活を送っていけることが多い疾患です。当クリニックでは、お子さん一人ひとりの個性を大切にしながら、ご本人とご家族が安心して過ごせるよう、丁寧な診療と支援を心がけています。「こんなことで相談してもいいのかな」と思うようなことでも、ご家族だけで抱え込まず、どうぞ遠慮なくご相談ください。

 〒160-0004 
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院長
西木 百合子
診療内容
児童精神科・精神科・心療内科
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