睡眠障害

睡眠障害とは

睡眠は食事や運動と同様にお子さんにとっては重要なものです。ところが近年では、「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」「日中に強い眠気を感じる」といった睡眠のトラブル(睡眠障害)を抱えるお子さんが増えています。

年齢に応じた適切な睡眠時間は、例えば3~5歳児で10~13時間、小学生なら9?11時間、中高生でも8?10時間が目安とされています。しかし実際には、日本の子どもたちの多くが十分な睡眠をとれていないと言われており、世界的に見ても睡眠時間の短さが指摘されています。背景には、生活スタイルの変化や夜型化、スマートフォンの普及、SNSやゲーム、過剰な学習・習い事など、さまざまな要因があります。

睡眠は「心の健康」とも深く関わっているため、単なる夜更かしと見過ごさず、早めに対処していくことが大切です。

こんな場合は受診、相談を

以下のような状態が続く場合には、睡眠障害の可能性があります。放っておくと学業や日常生活、人間関係に大きな影響が出るため、早めのご相談が大切です。

  • 眠りたくても、布団に入っても何時間も眠れない
  • 夜中に何度も目が覚め、朝までぐっすり眠れない
  • 朝起きるのが極端に苦手で、登校ができない
  • 日中に強い眠気があり、授業中に寝てしまう
  • 学校や家庭でのストレスが原因で眠れない
  • 不眠の影響でイライラしやすくなっている
  • 眠れないことで、「自分はダメだ」と感じている

睡眠障害の種類・症状

お子さんの睡眠障害は、主に4つのタイプの症状に分けられます。

不眠症

「眠れない」ことが主な症状です。「夜になっても眠くならない」「布団に入っても1時間以上寝つけない」「眠りが浅くて何度も起きる」といった症状が見られる場合、不眠症の可能性があります。乳幼児期の夜泣きや寝ぐずり、学童期以降の不安やストレスによる不眠、発達障害に伴う不眠など、年齢や背景によって様々な形で現れます。特に思春期には、学校での人間関係の悩みや勉強の不安、いじめなどが原因となることも少なくありません。

過眠症

「日中の強い眠気」が主な症状です。学童期以降のお子さんの場合、眠気が注意力散漫、落ち着きのなさ、成績低下といった形で現れることもあります。過眠症はそれ単体で起こることもありますが、ADHD(注意欠陥多動性障害)に付随して起こることもあります。またうつ病でも同じ症状が生じることもあります。

睡眠覚醒リズム障害

「夜眠れず、朝起きられない」といった、体内時計の乱れが主な症状です。特に中学生や高校生など思春期に多くみられ、生活リズムが夜型にずれてしまい、場合によっては昼夜逆転を起こしてしまいます。この状態が続くと、学校の授業についていけなくなり、不登校につながるなど、深刻な問題を引き起こすことがあります。

睡眠時随伴症

睡眠中に起こる望ましくない行動や現象の総称です。夜中に突然叫び声をあげて起きる夜驚症や、寝ぼけたまま歩き回る睡眠時遊行症(夢遊病)、悪夢にうなされる悪夢症などがあります。深い眠りの途中で脳の一部が目覚めてしまうことが原因とされています。これらはお子さんの正常な発達過程でよく見られるもので、多くは自然に軽快しますが、お子さん本人やご家族の負担が大きい場合は治療の対象となります。また、寝る前に脚の不快感でじっとしていられなくなる「むずむず脚症候群」もこの一種です。

お子さんの睡眠障害の原因

生活が夜型化し、睡眠時間が不足している

夜更かしが習慣になると、脳が十分に休まらず、疲れが残ったまま学校へ向かうことになります。生活が夜型に傾いているお子さんでは、朝の起床がつらく、集中力の低下にもつながります。特に日本では、小中学生の夜更かしの傾向が世界的に見ても強く、登校時間は変わらないため、睡眠不足に陥ることが多くなっています。

就寝時間と起床時間が一定ではない

休日になると昼まで寝てしまうなど、生活リズムが不規則になると、体内時計が乱れ、平日も寝つきが悪くなることがあります。月曜の朝がつらい、といったことから、不登校にもつながりかねません。一定のリズムを保つことは、お子さんの心や体の健康にとって非常に重要です。

深夜までスマホ・ゲームをしている

スマートフォンやゲーム機の光(ブルーライト)は、眠りを促すホルモンの分泌を妨げ、脳を覚醒させてしまうことが知られています。楽しくてやめられない気持ちはよくわかりますが、睡眠時間を削ってまで続けてしまうと、心身のバランスを崩してしまいます。

ストレス(学校、受験、家庭内など)

人間関係の悩みや勉強の悩み、プレッシャーなど、お子さんが様々なストレスを抱えていることは珍しくありません。不安や緊張は眠りに影響しやすく、寝つきの悪さや夜中の目覚めとして現れることもあります。

睡眠時無呼吸症候群(耳鼻科の病気)

アデノイドや口蓋扁桃の肥大(のどの奥の扁桃が大きい)、アレルギー性鼻炎などにより、気道が塞がって、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。いびきや夜間の頻繁な目覚め、日中の眠気などがみられる場合は、耳鼻咽喉科との連携が必要になります。

発達障害の影響(ASDなど)

ASDなどの発達特性を持つお子さんでは、幼少期から入眠の困難や夜間の目覚めが多く報告されています。ADHDのお子さんでは朝起きるのが苦手ということも多くあります。この場合、お子さん本人やご家族の努力だけではうまくいかないこともあるため、専門的な支援が重要です。ただし、逆に睡眠不足による集中力低下が、発達障害と間違われるケースもあるため、注意が必要です。

睡眠障害の影響

睡眠の問題を放置すると、お子さんの心身に様々な悪影響が及ぶ可能性があります。たとえば日中の強い眠気は、授業への集中力や学習能力を低下させ、成績不振につながります。また、朝起きられないことで遅刻や欠席が増え、不登校や留年、退学に至るケースもあるなど、学校生活に大きな影響を与えてしまいます。

さらに健康への影響も大きく、慢性的な睡眠不足や質の悪い睡眠は、肥満や生活習慣病(糖尿病・高血圧)、うつ病などの発症リスクを高めることがわかっています。加えて、成長、発達へのリスクも見逃せません。成長ホルモンは深い眠りの間に最も多く分泌されるため、睡眠が妨げられると、身体的な発育に影響が出る可能性があります。精神的にも不安定になりやすく、小学生以下のお子さんでは、眠気が落ち着きのなさや多動、情緒不安定といった形で現れることもあります。

お子さんでは、「朝起きられない=怠けている」と誤解されてしまうことがあります。しかし実際には、体内時計のリズムが大きくずれている、あるいは強い不安や心配が眠りを妨げているなど、医学的な支援が必要な状態かもしれません。睡眠の不調は「こころのSOS」の一つとして、大切に受け止めてあげてください。

睡眠障害の治療

生活習慣の改善(体内時計を整える)

基本となるのは、生活リズムを整えることで、まず、毎朝同じ時間に起きることから始めましょう。太陽の光を浴び、朝食もしっかりと摂ります。こうしたリズムが身につくと、自然と体内時計が整い、夜も自然に眠くなるようになります。休日に遅くまで寝ることは、せっかく整った体内時計がまた乱れてしまいますので、注意が必要です。

寝室は静かで快適な温度に保つなど、環境を整えることも大切です。夕方以降は強い光(スマートフォンやゲーム)を避け、就寝前2時間以内の食事やカフェイン(お茶やチョコレートにも含まれます)の摂取も避けるようにします。就寝前は読書やぬるめの入浴など、リラックスできる習慣を取り入れるなど、心が落ち着く環境づくりも大切です。布団もしくはベッドは寝るためだけに使う、ということも重要です。寝られないなと思ったら一度布団から出て、リラックスしてから再度眠る準備をしましょう。

原因となっている疾患の治療

生活習慣を改善しても症状が良くならない場合、背景に何らかの病気が隠れている可能性があります。もし耳鼻科の病気(いびき、鼻炎、扁桃肥大)や、精神的な不安、発達特性などがある場合は、それぞれの専門的な治療や支援が必要です。

例えば、睡眠時無呼吸症候群であれば耳鼻咽喉科での治療(手術など)が必要になることがあります。むずむず脚症候群では、鉄分不足が原因となっている場合があるため、血液検査を行い、鉄剤の補充などを行います。

当クリニックの診療について

お子さんの睡眠障害は、「眠れない」ことそのものに加え、その背景や影響の広がりに注意が必要です。当クリニックでは、お子さん一人ひとりの生活とこころに寄り添いながら、無理のない形で回復をサポートします。また近年はお子さん向けの安全性の高い睡眠導入剤もあります。ひとりで悩まず、まずはお気軽にご相談ください。お子さんの心と身体の健やかな成長を一緒に支えていきましょう。

 〒160-0004 
東京都新宿区四谷2-10 第二太郎ビル5F
院長
西木 百合子
診療内容
児童精神科・精神科・心療内科
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