チック

チックとは

チックとは、自分の意志とは関係なく、体が勝手に動いてしまったり、声が出てしまったりする反復的な運動や発声のことを指します。数秒程度の一瞬の動きや声が繰り返されるのが特徴で、周囲からは「クセ」や「落ち着きのなさ」と見られることもありますが、本人にとっては自分で止めたくても止められない困りごとです。

チックは、大きく分けて「運動性チック(体の動き)」と「音声チック(声や音)」に分類され、それぞれ「単純なもの」と「複雑なもの」に分けられます。多くは一時的に現れて自然に消えていきますが、長期にわたる場合や重症の場合には、治療や支援が必要になります。

チックはお子さんによく見られる症状であり、学齢期の児童のうち約10~20%が一度は経験すると言われています。男の子に多く、初発年齢は5~7歳ごろが一般的です。多くの場合は数週間から数か月のうちに軽快していきますが、1年以上持続する場合や複数のチックが見られる場合には「トゥレット症候群」に分類されます。

緊張やストレス、疲労、注目されることなどが引き金となることがあり、無理に抑えようとすると、却って悪化することもあります。成長とともに落ち着いてくるケースが多い一方で、強い自己否定感や学校での困りごとにつながることもあるため、早めに相談できる環境を整えることが大切です。

チックの原因

チック症の原因は、完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(主にドパミン)の働き方に関係があるとされています。また、遺伝的な要因や、もともとの気質(神経が敏感、緊張しやすいなど)も影響すると考えられています。

加えて、環境からのストレス??たとえば進学や転校、家庭内の変化、人間関係の悩みなどがきっかけとなって、チックが目立つようになることもあります。「気にしすぎ」「叱りすぎ」「本人の甘え」といった考え方で対応してしまうと、かえって症状を悪化させてしまうことがあるため、正しい理解と対応が大切です。

チックの症状

チックは、緊張したときや注目されたとき、または何もしていないリラックスした時間などにも現れます。「やりたくてやっているわけではないけれど、我慢するととても気持ちが悪くなる」という「前駆感覚」がある場合もあります。

チックの症状には運動チックと音声チックがあり、それぞれに「単純」「複雑」があり、計4つのタイプが認められます。

チックの種類

運動性チック
  • 単純運動チック:まばたき、顔をしかめる、肩をすくめる、首を振るなど
  • 複雑運動チック:ジャンプする、手をたたく、他人や物に触る、一定の動きを繰り返す など
音声チック
  • 単純音声チック:咳払い、鼻を鳴らす、舌打ち、うなり声など
  • 複雑音声チック:意味のある単語を突然発する、汚言(その場に不適切な言葉を口にする)、繰り返し発話(他人の言葉をオウム返しにする)など

チックの症状は時間や環境によって変動しやすく、「調子の良い日」と「悪い日」があるのも特徴です。症状を叱ることや意識させすぎることは、悪化につながる場合があるため、“あまり触れずにそっと見守る”対応が基本となります。

トゥレット症候群について

複数の運動チックと、一つまたは複数の音声チックの両方が現れるもので、運動チックと音声チックの両方が1年以上継続して現れているものはトゥレット症候群と診断されます。

傾向としては、思春期に最も症状が強くなり、その後、多くは成人期にかけて軽快します。ただし、約3分の1程度は成人期まで症状が続くとされています。またトゥレット症候群では、ADHD、強迫性障害、ASD、不安障害、うつ病など、他の神経発達症や精神疾患を合併することが多い、ということが知られています。

チックの治療

多くの場合、チックは成長とともに自然に軽快します。生活に大きな支障がなければ、経過を見守ることが基本となります。治療が必要となった場合も、まず、お子さんのチック症状に対して「正しい理解」を持つことが最も大切になります。

チックは「わざとやっている」ものではなく、本人の意志とは無関係に生じるもので、注意したり叱ったりしても症状が改善することはありません。それどころか、「止めなきゃ」と思えば思うほど、かえって症状が強まってしまうこともあります。

チックの治療は、本人とご家族、そして関わる大人たちが正しい知識を持ち、安心できる環境を整えることから始まります。さらに、必要に応じて心理療法や薬物療法を適切に組み合わせていくことで、日常生活をよりスムーズに、ストレスなく送っていけることを目指していきます。焦らず、温かく見守る姿勢が、子どものチック症状の回復に大きな力を与えてくれます。

環境調整

チックの多くは、環境によって悪化したり、逆に軽減したりします。たとえば、学校や家庭での緊張が続くとチックが強くなる一方で、安心して過ごせる時間が増えると、自然とチックが目立たなくなることも少なくありません。そのため、まずはお子さんがリラックスして過ごせる生活環境を整えることが大切です。また、学校や家でのストレスやプレッシャーが症状の背景にある場合には、そうした要因を取り除く工夫も必要です。

周囲の対応として、チックを「指摘」したり、「無理に止めさせよう」としたり、「からかう」あるいは「無視する」といったことは避けましょう。むしろ、「気にしなくていいよ」と伝えてあげること、本人の長所や努力を認めてあげることなど、ポジティブに接していくことが重要です。必要があれば学校の先生にも理解を求めることが、症状の緩和につながります。また専門医のアドバイスやサポートも大きな力になりますので、ご家族だけで抱え込まず、まずはお気軽に当クリニックまでご相談ください。

心理療法

チックの症状に対しては、認知行動療法に基づいた心理的アプローチが有効とされています。特に近年注目されているのが、「ハビット・リバーサル・トレーニング(HRT)」という方法です。これは、自分のチックが出そうな感覚(前兆)を自覚し、その代わりに別の動作をとることで、チックを抑える訓練をしていくものです。たとえば「首を振るチック」が出そうなときに、代わりに「肩に力を入れる」というような行動をとることで、徐々にチックを軽減していきます。

薬物療法

チック症状が重度で、日常生活や学校生活に支障が出ている場合や、他の症状(たとえばADHDや強迫症状、不安など)を合併している場合には、薬物療法を併用することもあります。

チックに対し投薬を行うこともありますが、副作用として眠気や体重増加、集中力の低下などがみられることもあるため、慎重な観察と調整が必要です。また、ADHDや強迫性障害などの合併症がある場合には、それぞれに応じた薬物療法も検討されます。

薬物療法だけでなく、生活習慣や環境の見直し、心理的支援と組み合わせて治療を進めていくことが、チック症状の改善には欠かせません。

当クリニックの診療について(例)

チックは決してめずらしい症状ではありません。そして、その子の努力不足や性格の問題でもありません。当クリニックでは、お子さんとご家族の不安に寄り添い、必要に応じて学校との連携や心理的サポートを行いながら、一人ひとりに合った支援を行っています。どうぞ、安心してご相談ください。

 〒160-0004 
東京都新宿区四谷2-10 第二太郎ビル5F
院長
西木 百合子
診療内容
児童精神科・精神科・心療内科
TEL
03-5315-0722
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